東京高等裁判所 昭和45年(う)2528号 判決
被告人 竹内重男
〔抄 録〕
被告人は妻と共に芸妓置屋を経営し、自宅や自己指定の場所に居住させていた原判示芸妓六名を、その芸妓としての置屋への在籍関係、金銭関係等から自己の管理支配下に置き、芸妓としての稼業と売春婦としての売春とを表裏不可分の密接な関係において、同女らの売春を勧誘又は助長し、これを反覆継続していたと認められるので、たとえ売春そのものは右芸妓と遊客との完全な合意に基くものであり、被告人らにおいて暴行又は脅迫によりこれを強制したものでも、偽計によつてこれを余儀なくさせたものでなく、また被告人らが右芸妓らの売春による報償の分前を直接得たものでないとしても、さらにまた右芸妓らの前借金その他の借金が、いわゆるひもである男性とのぜいたくな生活から必要以上に多額となつたとしても、はたまた、芸妓置屋業それ自体は合法であつても、本件における被告人の所為は、一般的にいつて婦女を自己の占有する又は指定する場所に居住させてこれに売春させることを業としたものとして、売春防止法一二条にいわゆる管理売春の罪にあたるものといわなくてはならない。所論は、前記住込み芸妓三名が、被告人方に居住しているのは、被告人の所属する置屋協同組合の内規が、芸妓としてかかえた当初の一年間は置屋に住込ませなければならないと定めているので、これに従つて芸妓として住込ませているだけであつて、売春をさせる目的のために住込ませているのではないというが、主たる目的が芸妓として住込ませることにあり、売春のみを目的として住込ませた場合でなくとも、主たる目的である芸妓の稼業と表裏不可分の密接な関係においてこれに附随して売春をさせた以上、売春防止法一二条にいわゆる「自己の占有する場所に居住させ」の要件に該当すると解するのが相当である。
(井波 足立 丸山)
註 本件破棄は量刑不当